「完済したいと申し出たのに、業者が『延滞金がある』『別の名目の手数料がある』と受け付けてくれない」「完済できると思っていた金額を振り込んだのに、翌週また新しい請求が来た」──そんな状況で、この記事にたどり着いた方もいるはずです。
結論からお伝えします。これは「完済ブロック」と呼ばれる、業者が意図的に完済させない手口です。そして、そもそも法律上、闇金業者への返済義務はありません。完済ブロックに乗って支払いを続けるほど、業者は要求を増やします。抜け出すためには、司法書士や弁護士に依頼して受任通知を送ってもらう必要があります。
この記事では、完済ブロックとは何か、どのような手口が使われるのか、なぜ業者は完済させないのかという構造、法律的な位置づけ、そして実際に抜け出すための手順を、順を追って解説します。
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目次
完済ブロックとは、借主が完済を申し出ても、業者側があの手この手で完済させず、支払いを続けさせようとする一連の手口を指します。相談の現場では「終わらせようとすると、必ず新しい理由をつけてくる」という言葉がよく出てきます。
完済ブロックは、次のような流れをたどることが多くなっています。
この構造の中では、支払いを続けるかぎり終わりが訪れない設計になっています。
完済ブロックは、必ずしも大声の脅しから始まりません。「すみません、こちらの計算漏れで」「サービスとして今回だけ」といった丁寧な言葉で追加請求が積まれていくパターンも多く、借主側が「悪意」を認識するまで時間がかかることも珍しくありません。
「あと3,000円だけ」「事務手数料の1,500円だけ」といった少額の追加請求は、「これで終わるなら」と支払ってしまいがちです。しかし、この少額を積み重ねる設計こそが完済ブロックの狙いです。
相談の現場で繰り返し登場する完済ブロックのパターンを整理します。どれかに心当たりがあるはずです。
完済の申し出があった時点で、「これまで返済が数日遅れた分の延滞金」「約束を守らなかった違約金」を新たに請求してくる手口です。そもそも約款らしきものは口頭でのやり取りだけで、明確な契約書はないケースが大半で、業者が言い値で追加請求できる構造になっています。
「完済扱いにするために解約手数料が必要」「事務手続きの手数料がかかる」といった名目で、実体のない費用を上乗せしてくる手口です。実務上、正規の消費者金融ではこうした費用は発生しません。
「今回で終わりにしましょう」と言いつつ、「せっかくだから次回のためにもう一度だけ」と新規貸付を持ちかける手口です。完済したかったはずが、また新しい借入から支払いが再開する、という無限ループに引き戻されます。
「利息はサービスするから元金だけ返して」と甘い提案をした後、実際には「事務手数料」名目で利息以上の金額を回収する手口です。「利息ゼロ」と言われて安心して支払うと、実質金利が下がっていない結果になります。
「今日はもう時間だから完済扱いは明日の朝処理する」といった口約束で、書面や記録を残さないまま完済処理を先延ばしにする手口です。翌日になると「昨日はそんな話はしていない」と言われ、再び請求が続きます。
「早く完済したいのなら」と、家族の連絡先や職場の情報を切り札にして追加請求を飲ませる手口もあります。恐怖から追加請求に応じてしまうケースですが、これは脅迫罪や強要罪にも該当しうる犯罪行為です。
「なぜここまでして完済させないのか」と疑問に思うかもしれません。答えは、業者側のビジネス構造そのものにあります。
闇金は、返済総額の大きさではなく、「支払い続けてくれる期間」の長さで利益を積み上げます。1週間で2割、10日で3割といった短期高利の設計は、完済させないほど利益が大きくなる構造です。だからこそ、完済を申し出た借主を業者は「離したくない客」と見なします。
借主が完済して縁を切れば、業者は本人・家族・勤務先の情報を使い切ることになります。逆に、完済させずに支払いを続けさせれば、その情報を使った脅しの効果は続きます。情報のカード価値を維持したいという意味でも、業者は完済を避けます。
完済ブロックは、単なる「もう一度払わせたい」だけではなく、借主に希望を持たせないための心理的な仕掛けでもあります。「頑張って払っても終わらない」と学習した借主は、追加借入の提案も受け入れやすくなります。
正規の消費者金融であれば、返済額と手数料は契約書に明記され、完済すれば処理は自動的に行われます。完済ブロックのような手口は、そもそも法定金利を超えて貸し付けている闇金だからこそ成立するものです。
完済ブロックの各手口は、単に不誠実な商慣行ではありません。複数の法律に違反する明確な違法行為です。
そもそも闇金は貸金業登録を受けていない無登録業者です(貸金業法第3条違反)。無登録営業は10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金の対象になります(貸金業法第47条)。この時点で、業者との契約全体が違法な原因の上に成り立っています。
貸金業者における出資法の上限金利は年20%、利息制限法(元本10万円未満)は年20%です。ソフト闇金・LINE闇金の典型的な条件を年利換算すると、約365%〜1,095%以上に達します。完済ブロックで積み増される「延滞金」「手数料」も、実質金利の上乗せとして違法です。
完済ブロックの手口には、以下のような貸金業法第21条違反が含まれます。
完済したいという申し出に対して脅しをかける行為は、それ自体が刑事罰の対象となる違法行為です。
完済ブロックから抜け出すための最初のステップは、「完済すれば終わる」という前提を手放すことです。法律の建て付けを正しく押さえておくと、業者との対峙の仕方が根本から変わります。
民法第708条は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めています。違法な貸付を行った業者は、貸したお金の返還を法的に請求できません。利息だけでなく、元金を含めた貸付金全体について返還請求権が認められないという点がポイントです。
最高裁判所 平成20年6月10日判決(民集62巻6号1488頁)は、ヤミ金融業者が著しく高利の貸付を行った場合、借主は元本についても返済する義務を負わないと示しました。「元金だけは返さなければ」という感覚を、最高裁が明確に否定した判例です。
そもそも「完済」という発想は、返済義務があることを前提にしています。法律上、返済義務そのものがないのに、業者の枠組みで「完済」を目指すこと自体が、業者の設計に乗ることになります。完済ブロックから抜け出すためには、この前提を根本から見直す必要があります。
返済義務がないということは、これまで支払ったお金は不当利得として業者に返還請求できる可能性があります。完済しようと必死に振り込んできた金額こそ、返還請求の材料になります。
法的根拠の全体像は、以下の記事で詳しく解説しています。
ここからは、実際に完済ブロックから抜け出すための具体的な手順を整理します。今日から動ける内容です。
まず何よりも、今日以降の追加支払いを止めることが最優先です。「あと少しで終わる」という感覚は業者が意図的に作り出したもので、追加支払いに応じるほど業者側の期待が積み上がり、要求はエスカレートします。
ネットバンキングの取引履歴、コンビニATMの利用明細、通帳の写し、業者とのLINE・SMSのスクリーンショットを集めます。「いつ、どこに、いくら振り込んだか」がわかる記録は、司法書士との相談で最も重要な資料になります。
集めた記録を持って、司法書士または弁護士の無料相談を利用します。相談の場では以下を確認します。
専門家の比較検討には、以下の記事も参考にしてください。
依頼が決まると、司法書士から業者に受任通知が送付されます。送付は即日〜翌営業日に行われることが多く、これ以降、業者は本人への直接連絡を基本的に行わなくなります。「完済まであと少しですよ」の連絡自体が入らなくなる、という状態を作れます。
業者が本人以外への連絡に切り替えてくる可能性を想定し、家族や職場への対応を先回りで準備します。家族には支払い義務がないことをはじめ、法的な整理を家族と共有しておくと、業者からの連絡に慌てずに対応できます。
家族への催促の法的な整理は、以下の記事も参考にしてください。
受任通知の送付後、これまで支払った金額の返還請求を司法書士と一緒に検討します。業者との連絡が完全に途絶えている場合や、口座凍結後で回収が難しいケースもあるため、現実的な回収見込みを踏まえた判断になります。
受任通知後の業者の反応にはいくつかのパターンがあります。あらかじめ知っておくと、動揺せずに対応できます。
多くのケースでは、受任通知が届いた時点で業者からの連絡は完全に止まります。追加請求を続ける法的な根拠がないだけでなく、続けること自体が新たな貸金業法違反として刑事責任を問われるためです。
一部の悪質な業者は、本人への連絡ができなくなったと悟ると、家族や職場への連絡に切り替えます。これも貸金業法第21条違反であり、代理人が引き続き対応します。家族には、法律上、業者への支払い義務はありません。
近年増えているのが、SNSや口コミサイトでの個人情報の公開・虚偽投稿です。これも刑事罰と民事責任の対象になる違法行為です。
取り立てが暴力・脅迫、家族への実害に及ぶ場合は、警察との並行対応が必要です。司法書士との連携で、刑事事件と民事対応を同時に進める形をつくります。取り立ての恐怖と実態については、以下の記事も参考になります。
止めていいというだけでなく、止めるべきです。追加支払いをやめて司法書士に相談すれば、業者との連絡窓口は代理人に一本化され、追加請求そのものが基本的にできなくなります。「もう少しで終わる」という感覚は業者が作り出したもので、それに乗る必要はありません。
安心はできません。口頭の完済確認は、業者側で簡単に翻されるためです。「あれはサービスで、正式な処理はまだしていない」と言い出すケースが少なくありません。書面での完済確認がない状態で追加請求が続いているなら、それは完済ブロックが進行中です。
追加支払いに応じないでください。家族や職場への連絡は業者が違法行為に踏み込むという宣言に等しく、脅迫罪や強要罪にも該当します。追加で払うのではなく、司法書士への相談を最優先にしてください。すでに脅しが始まっているなら、その事実こそが業者の違法性を裏付ける証拠になります。
「振り込みを止める」だけだと、業者からの取り立てが激化する可能性があります。司法書士に依頼して受任通知を送ることで、業者との連絡窓口を代理人に一本化することが安全です。「止める」と「代理人経由に切り替える」を同時に行うのが基本の流れです。
返還請求の金額と、実際に回収できる金額は別問題です。法律上の請求権としては元金・利息を含めて全額の返還を主張できますが、業者の口座が凍結されている場合や、業者本人と連絡が取れなくなっている場合は、現実の回収は難しくなります。相談の段階で、請求可能額と回収見込みの両方を試算してもらえます。
闇金の完済ブロックは、業者が意図的に完済させず支払いを続けさせる違法な手口です。延滞金・手数料・解約料といった名目の追加請求、完済と同時の新規貸付、口約束での先延ばし──いずれも業者側の設計です。
そして、そもそも法律上、闇金業者への返済義務はありません。民法708条と最高裁平成20年6月10日判決は、元金を含めて返済する義務はないと明確に示しています。完済ブロックに乗って払い続けるのではなく、代理人を立てて業者との縁を切るのが、法律に沿った正しい抜け出し方です。
「もう少しで終わる」と自分に言い聞かせて振り込みを続けてきた時間は、決して無駄ではありません。今日、司法書士や弁護士に相談することで、その時間のリターンとして取り立てを止め、支払い済み金額の返還可能性を検討するという選択肢が開けます。
相談は無料、費用の分割・後払いに対応する事務所もあります。一人で抱え込まず、まずは無料相談の電話をしてみてください。
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