【徹底解説】自己破産と後払い決済のすべて―失敗しないための6つのポイント!

自己破産と後払い決済──いまや身近な「あと払い」ですが、 使い方を誤ると免責不許可のリスクやブラックリスト期間の長期化など、生活再建に響く落とし穴があります。

この記事では、自己破産の基本から後払い決済が与える影響審査・信用情報・生活への実務的な対策まで、 実例を交えて丁寧に解説します。

今日からできる安全な運用のコツと、失敗しない6つの要点をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 自己破産手続きと後払い決済の関係
  2. 後払い決済のリスクと自己破産―免責・審査・停止の実際
  3. 後払いを含む債務整理の選択肢(任意整理/個人再生/自己破産)
  4. ブラックリストと生活への影響:期間・再開戦略・二度目の破産
  5. よくある質問(FAQ)
  6. まとめ:失敗しないための6つのポイント
  7. 用語まとめ(簡易グロッサリー)

1. 自己破産手続きと後払い決済の関係

1-1. 自己破産とは?基本をやさしく整理

自己破産は、借金返済済が不可能な場合に裁判所の手続きを通じて支払義務を免除(=免責)してもらう制度です。
免責許可が出れば、原則として全ての借金(税金や養育費など一部非免責債権は除く)は支払義務がなくなります。
一方で、財産処分一定の職業制限(破産手続中)などのデメリットも存在します。

  • 自己破産の目的:借金を免除し、生活再建を行うための法的なリスタート
  • 自己破産の対象:クレジット・カードローン・後払い・割賦等の債務全般が対象
  • 自己破産の結果:免責が確定すれば返済義務は原則消滅

1-2. 後払い決済は「借金」か?

結論から言えば、後払い決済は法律上の「債務」=借金の一種です。

商品・サービスを先に受け取り、後から支払いを行うためです。

期限を過ぎれば遅延損害金が発生し、長期間の延滞は信用情報の事故(いわゆるブラックリスト)に直結します。

「コンビニ後払い」「◯◯ペイあと払い」「通販の後払い伝票」なども、 未払いなら借金に該当します。

自己破産の申立書には漏れなく記載することが必要です。

1-3. 破産手続き前・中・後での振る舞い(やってよい/NG)

やってよいこと

  • 弁護士との相談に向けて後払いの利用状況・金額をリスト化する
  • 後払いの利用を停止する
  • 弁護士へ相談する
  • 過去2年分の通帳履歴・直近2か月分の給与明細・直近2年分の源泉徴収票などの資料を収集する

NG(避けるべき)

  • 破産直前の高額の後払い利用(免責不許可となるリスクあり)
  • 不必要なの物品の購入
  • 現金化や転売目的での購入(免責不許可となるリスクあり)
  • 債務の一部申告漏れ(免責不許可となるリスクあり)

2. 後払い決済のリスクと自己破産―免責・審査・停止の実際

2-1. 免責不許可事由になり得るケース

自己破産には、免責不許可事由(浪費行為・虚偽の申告・偏頗弁済など)が定められています。

後払いについても、破産直前に返済意思なく高額な後払いを繰り返すと、免責が認められない可能性があります。

もっとも、生活費の補填などやむを得ない事情がある場合は、裁判所の裁量で救済されることもあります。

  • 危険な行為:娯楽品・ブランド品の駆け込み購入/ギフト券多量購入/現金化・転売目的の仕入れ
  • 説明が鍵となる行為:家賃・食費・医療費など生活のためやむを得ない支出

2-2. 「破産後でも使える?」現実的な可否と注意点

免責確定後、信用情報は5〜10年ほど残ります。

多くの「あと払い」は信用審査を伴うため、短期的には審査通過が難しいのが実情です。

一部の少額与信・独自審査サービスで使える場合があっても、限度額は小さく停止されるリスクも高めです

そのため、現金・デビット・プリペイド中心の生活に切り替えましょう。

2-3. 利用停止・商品回収・法的手続きの流れ

  1. 支払期日の超過:メール・SMS・ハガキで催告・督促
  2. 再催告・利用停止:利用制限、次回以降の利用停止
  3. 法的な回収手続き:法律事務所へ回収委託・訴訟・差押えに発展することも
  4. 信用情報登録:長期延滞で事故情報(ブラックリスト)へ登録

放置は最も良くない手段です。
支払期限前でも支払いが難しければ、早期の連絡や弁護士への相談が最善です。

3. 後払いを含む債務整理の選択肢(任意整理/個人再生/自己破産)

3-1. 任意整理:将来利息カットで月額を軽く

任意整理は、弁護士・司法書士が債権者と交渉し、将来利息のカット及び分割返済で返済を現実的にします。

任意整理は元金の減額は見込めませんが、手続きがシンプルで自己破産や個人再生と比べて費用も安く、周囲へ知られにくいというメリットがあります。

  • 任意整理に適した方:安定収入があり元金を3年から5年程度の分割で払える方・自己破産や個人再生は避けたい方
  • 任意整理の注意点:債務総額が大きすぎる場合は任意整理で解決できない可能性あり

3-2. 個人再生:元金の圧縮+財産保護

個人再生は、裁判所を通して元金を大幅圧縮し、原則3年(最長5年)で返済を行うものです。

個人再生には住宅資金特別条項というものがあり、住宅ローンの残った自宅を守りやすいという制度でもあります。

  • 個人再生に適した方:借金総額が大きい・住宅などの財産を維持したい
  • 個人再生の条件等:毎月様々な書類の提出が必須・個人再生委員との面談あり・安定的な収入が見込めることが必要

3-3. 自己破産:支払義務の原則免除でゼロからの再出発

自己破産は、返済が到底不能な場合における最も強力な再出発の選択肢です。

裁判所から免責が許可されることにより、借金の返済義務は消滅します。

ただし、一定額以上の財産が没収されること、浪費に基づく借入は免責不許可となる恐れがあること、また職業制限(管財期間)一部非免責債権(税金・養育費等)が存在することにも注意が必要です。

自己破産の場合、少額の後払いでも申告は必須です。「2,000円だから…払ってしまおう」はNGです。

債務の申告漏れがある場合、免責不許可となるリスクがあります。

3-4. 弁護士に相談するメリット

  • 最適な方法の選択:任意整理・個人再生・自己破産からあなたの希望や状況に合った最適な方法を提案
  • 手続きの円滑なサポート:複雑な書類や法的な問題点について裁判所へ上手く説明し、手続きを円滑にサポート
  • 督促の停止:受任通知の発送により債権者からの督促が停止され、精神的ストレスを軽減

4. ブラックリストと生活への影響・期間等

4-1. 信用情報への登録期間

自己破産を行うと、信用情報機関であるCIC/JICC/KSCに免責許可決定から約5〜10年登録されます。

そして、信用情報機関に登録中はクレジットカード利用・各種借入・各種ローン・多くの後払いが原則できず、家賃保証の審査も厳しくなる傾向があります。

そこで、クレジットカード利用や借入、後払い等に頼らない生活を行う必要があります。

信用情報登録後の生活方法(例):

  • 支払いは現金・デビットカード・プリペイドカードを利用する
  • 公共料金・携帯料金は口座振替にする
  • 家計簿を付けたり家計アプリを利用し、毎月の支出を透明化して家計の見直しを行う(通信・保険・サブスク等の見直し)

4-2. 信用情報から抹消されるタイミング

信用情報における事故情報が消える時期は、信用情報機関により差があります。

もっとも、一般的には自己破産における免責許可決定から5年から10年程度で事故情報は抹消されます。

4-3. 二度目の自己破産は困難

一度免責許可決定を受けると、7年間は再度の免責は受けられません

そのため、仮に自己破産を行い免責許可決定を受けた後は、後払いに頼らず、毎月の生活費を見直し収入の範囲内で生活していく必要があります。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 自己破産申立中に後払いサービスは使えますか?

原則として使うことはできません

信用情報に事故情報が載るため後払いの審査に通らないのが通常です。

また、仮に審査に通って後払いが利用できるとしても、後払いを利用することは免責不許可事由に該当し、免責が認められなくなるリスクがありますので利用することは控える必要があります。

Q2. 支払いができないときはまず何をすべき?

  • 期限前の連絡:期限の延長や分割払いの相談
  • 家計の見直し:通信費・水光熱費・食費・サブスク等の毎月の生活費の見直し
  • 専門家へ相談:弁護士や司法書士に相談・依頼

Q3. いつから後払いは再開できますか?

一律ではありませんが、免責許可決定から5〜10年後に後払いを利用できる可能性があります。

もっとも、後払いを利用することにより再度負債を抱えてしまう生活に陥らないよう、後払いはできる限り避けることをオススメします。

Q4. 家族名義で後払いを使えば問題ありませんか?

家族名義で後払いの契約が通る例はありますが、名義貸しや規約違反に該当するおそれがあります。

また、家族に内緒で行うと家族間のトラブルに発展するリスクもあります。

そのため、後払いに頼らず、現金やデビットカード払いを行うことが安全です。

Q5. 少額の後払いは自己破産の申告から省いてよい?

ダメです。

金額の大小に関係なく全債務を申告しなければなりません

申告漏れがあった場合、免責不許可となる可能性があります。

Q6. 破産直前にどうしても生活費が不足したら?

まずは公的機関の給付金が利用できるか確認しましょう。

やむを得ず後払いを使ってしまった場合でも、 必要最低限の金額で後払いを行い、やむを得ない事情で後払いを利用したと説明できるようにしましょう。

6. まとめ:失敗しないための6つのポイント

  1. 後払い=債務 自己破産では必ず全ての後払いの申告が必要
  2. 直前の高額後払いは厳禁(免責不許可の可能性あり)
  3. 自己破産手続中は後払い利用は停止 代替決済(現金・デビットカード)を利用
  4. ブラック期間は免責許可決定から5〜10年
  5. 返済に困ったら弁護士へ早期の相談

用語のまとめ

免責:裁判所へ自己破産申立てを行い、裁判所から借金の支払義務を免除する決定。これにより返済義務が原則として消滅。

免責不許可事由:浪費・偏頗弁済・虚偽申告等、免責が認められない原因になり得る行為。

偏頗(へんぱ)弁済:特定の債権者にだけ返済すること。

信用情報(ブラックリスト):延滞や自己破産等により信用情報機関に事故情報が登録されること。免責許可決定から5〜10年間は登録。

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この記事を書いた人
債務整理を取り扱う法律事務所で債務整理案件を年間100件以上担当しておりました。債務整理案件を取り扱ったことによる知識・経験をもとに記事を作成しております。この記事を通じて借金を抱えている方に少しでもお役に立てれば幸いです。