【完全解説】自己破産×医療ローン|知らないと損する注意点と再チャレンジの方法5選

医療ローンを自己破産で解決できるのか不安を思う方も少なくないはずです。

医療ローンは自己破産で免除されるのかという素朴な疑問に加え、破産後に必要な治療を継続できるのかという心配も重なり、情報収集の段階で立ち止まってしまう場面が見受けられます。

この記事では、医療ローンの基本構造から自己破産の法的効果、免責不許可につながりうるリスク、保証人に及ぶ影響、自己破産後の受診や公的制度の使い方、さらに信用情報の回復と審査対策に至るまでを順番に整理し、一つずつ解説していきます。

1. 自己破産と医療ローンの基礎知識

1-1. 医療ローンの仕組みと利用場面を丁寧に理解する

医療ローンは保険適用外の自由診療や高額治療の費用を分割で支払うための契約として設計され、医療機関からの案内で信販会社を利用する方法と、利用者が自ら信販会社へ申し込む方法の二つに大別されます。

審査では安定収入や返済比率が確認され、短期から長期までの分割回数が提示されます。

多くの契約は無担保ですが、極端に高額なケースでは担保の検討が行われることがあります。

借入である以上、毎月の返済額を計算し、家計全体の収支状況を考慮することが重要です。

1-2. 医療ローンが自己破産の対象に含まれる理由を押さえる

医療ローンは目的が医療行為であっても借入である点に変わりがなく、自己破産に際して他の借入と同等に扱われます。

自己破産における破産申立書には、医療ローンを含めた全債務を漏れなく記載する義務が生じ、特定の債務だけを意図的に外す行為は認められません。

医療という性質に配慮が寄せられる場面はありますが、扱いそのものは他の債務と特に区別されるわけではありません。

1-3. 医療費が自己破産に至る典型事情を具体的にイメージする

長期の入院や反復する通院によって医療費がかさみ、収支状況が赤字のまま改善しない状況が続くと返済不能に近づきます。

高額療養費制度を用いても自己負担が残りますので、そのうちに生活費の支払いが困難となり、さらなる借入を行う状態へ傾きがちです。

医療費は不可避の支出であるため、裁判所が事情を汲む傾向は確かに存在しますが、収入状況や資産、家計全体の状況が総合的に考慮されます。

支払不能となる前に、できるだけ早い段階で弁護士へ相談し、今後の収支状況を改善することが重要です。

2. 自己破産をすると医療ローンはどう扱われるのか

2-1. 免責が及ぶ範囲を正しく理解する

自己破産の免責決定が得られると、医療ローンの返済義務は原則として免除されます。

審美歯科や美容医療といった自由診療の費用であっても、消費者金融やクレジットカード債務と同様に扱われます。

もっとも、保証人が付いている場合に限っては、本人の免責とは無関係に保証人へ請求が及ぶため、家族関係や生活設計への影響を具体的に見積もる必要が生じます。

保証人が付いている場合、本人に対して免責が認められても、保証人の債務は消えません。

保証人が家族である場合、トラブルになる可能性もありますので、手続きの初期段階で丁寧な説明と今後の情報共有が不可欠です。

2-2. 免責不許可へつながる振る舞いを回避する

自己破産を行うことを前提に高額な医療サービスを契約したり、年収や勤務実態について虚偽の説明を行ったりすると、免責が認められない可能性が高まります。

治療が必要である事情が存在しても、借入と自己破産申立ての時期や支払意思の有無が精査されるため、医療ローンを契約する際には毎月の収支状況を考慮する必要があります。

2-3. 保証人がいる場合は事前説明が重要

保証人が付いている医療ローンでは、自己破産手続きによって保証人へ一括請求がなされ、その後に訴訟や差押えの手続きが行われる恐れがあります。

自己破産の手続きを行う前に保証人へ正確に説明し、保証人側の対策や分割交渉の可能性を残すことで、トラブルを未然に緩和することができます。

3. 自己破産後の医療サービスと生活への影響

3-1. 自己破産後も医療サービスは受診可能

自己破産は債務の免責を目的とする手続であり、健康保険の資格や医療サービスの受診を制限するものではありません。

急病や外傷の診療は当然として、慢性疾患の定期通院等も継続することができます。

ただし、過去に医療費の未払いが残っている医療機関では、窓口でのやり取りが厳格化する可能性があるため、支払計画の提示や相談窓口の利用が必要となります。

3-2. 未払の医療費が残っている場合

医療機関は命に関わる場面であり診療を拒否することはできませんが、医療費の未払いがあったり自己破産の対象に含まれた医療費の医療機関では、自由診療の予約では前払いの依頼や予約制限が行われる可能性があります。

未払いや自己破産に至った事情を正直に説明し、今後の支払見込みの根拠を提示することで、医療機関の態度も緩和されることがあります。

記録が残っている限り、同一医療法人内の別医院にも影響が及ぶ可能性もあるため、医療機関側に事前に説明しておく姿勢が大切です。

3-3. 医療費に関する公的制度

高額療養費制度により医療費の自己負担額に上限を設け、医療費の金額を抑えられます。

また、生活保護を受給されている場合、生活保護においては原則として医療費の自己負担がなく、継続治療が必要な方の安心材料として機能します。

加えて、医療費に関する自治体の独自助成や減免制度も存在する場合があります。

このように、医療費に関する公的制度は充実しています。そして、自己破産を理由として公的制度の利用が拒まれることは基本的にありませんので安心しましょう。

4. 自己破産後におけるローンの可否

4-1. 自己破産と信用情報(ブラックリスト)

自己破産を行うと信用情報機関に事故情報が記載され、免責決定から5年から10年程度は事故情報が継続します。

このように、信用情報における事故情報は永久的なものではなく、期間の経過によって情報が削除されますので、情報が削除された後はローンの審査に通る可能性があります。

4-2. 事故情報が消える時期

自己破産に関する信用情報機関への事故情報は、概ね免責決定から5年から10年にわたって掲載されます。

事故情報の掲載期間は信用情報機関(CIC・JICC・KSC)によって異なります。

事故情報が削除されたか否かについては、実際に信用情報開示を行い確認することができます。

信用情報を確認することにより、不要なローン審査を避けることができます。

信用情報機関における信用情報開示は以下のURLから行うことが可能です。

CIC:情報開示とは|指定信用情報機関のCIC

JICC:開示を申し込む | 開示サービス | 日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

KSC:本人開示の手続き | 全国銀行個人信用情報センター | 一般社団法人 全国銀行協会

4-3. ローン審査で重視されるポイント

ローン審査においては、収入の安定性、雇用形態、勤続年数、延滞状況等により総合的に審査されます。

自己破産後に携帯電話料金等の未払を発生させず、正社員として働き、仕事の勤続年数を増やすことでローン審査に通過する可能性が高まります。

また、過去の自己破産歴は隠すよりも正直に示し、現在の家計管理や収支の見直しといった改善策を説明することが重要です。

5. よくある質問(実務で誤解されやすい点)

5-1. 自己破産をすると病院での診療が制限される?

自己破産は医療を受ける権利を制限されないため、健康保険証を用いた受診は継続することができます。

過去の未払いが残る医療機関では窓口での事前清算を求められる場合がありますが、命に関わる場面で診療を拒まれることは基本的にありません。

5-2. 医療費以外の債務も同時に自己破産できるの?

自己破産は全債務を対象として行うため、クレジットカードや消費者金融、住宅ローンや自動車ローンなど全ての借入や未払を対象とします。

そのため、医療費以外の債務も同時に自己破産が可能です。

5-3. 家族が保証人となっている場合の注意点は何?

債務に保証人が付いている場合、本人が自己破産を行っても保証人の返済義務は残ります。

保証人に対する突然の一括請求により収支状況が悪化する可能性もありますので、自己破産を行う際には事前に保証人へ説明を行い、場合によっては保証人についても自己破産を行うことを検討する必要があります。

6. まとめ

医療ローンは自己破産により返済義務が原則として免除されます。

自己破産を成功させるためにも、免責不許可につながる行動は避け、自己破産手続きへの協力的な態度が重要です。

また、自己破産後も医療サービスの受診は継続でき、公的制度の併用によって医療費の負担も軽減されます。

信用情報は時間の経過により削除されるため、信用情報における情報削除後は再度のローンも可能となります。

医療ローンの返済でお困りの方は、まずは弁護士に相談することで生活再建に向けて一歩前進します。

借金問題は無料相談を行っている法律事務所も多いですので、まずは法律事務所で無料相談を行ってみましょう。

この記事を書いた人
債務整理を取り扱う法律事務所で債務整理案件を年間100件以上担当しておりました。債務整理案件を取り扱ったことによる知識・経験をもとに記事を作成しております。この記事を通じて借金を抱えている方に少しでもお役に立てれば幸いです。